●お母さんからもらった免疫と初めての病気にかかりやすい時期
 赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいるときに、お母さんから免疫(抗体)をもらいます。生後6か月を過ぎるころになると、この免疫は自然に少なくなり、生後6か月から1歳頃には一生のうちで一番免疫が少ない時期を迎え、初めての病気にかかりやすくなります。


●赤ちゃんの気になる症状と対応
◆まずは、お子さんの“元気なとき”を把握しておきましょう。
赤ちゃんの病気に気がつくためには、機嫌・哺乳(量や回数)・平熱・おむつ交換回数など普段の様子を知っておくことが大切です。

◆嘔吐・下痢
・赤ちゃんの胃は吐きやすい形をしているため、病気でなくても飲みすぎたり、げっぷ、ちょっとした刺激でも吐く場合があります。吐いた後でも元気であれば心配ありません。
・赤ちゃんの便は柔らかく、回数も多いです。
 下痢や嘔吐の他に発熱、けいれんなどの症状がないか、下痢や嘔吐の間隔や回数、便の性状や色などを落ち着いて観察しましょう。

◆発熱
・乳幼児は体温が高いので、平熱でも37℃を超えることがあります。
 37.5℃以上の発熱の時は、機嫌、元気さ、哺乳力、他の症状(嘔吐、下痢など)がないかどうかも観察しましょう。
・3か月未満の赤ちゃんで38℃を超える発熱の場合は、重大な病気の場合もありますので、すぐに受診しましょう。

◆けいれん(ひきつけ)
・けいれんとは、運動に関係する神経の働きの異常興奮により、からだ全体やからだの一部がつっぱったり、ピクピクしたり、脱力したりすることです。
・けいれんが起きたら、まず衣服をゆるめて顔を横向きに寝かせましょう。
・けいれんが治まったら、必ず体温を測っておきましょう。
 熱がないのにひきつけたり、10分以上続く場合はすぐに受診しましょう。

◆便秘
・便が2、3日に1回程度しか出なくても、機嫌もよく食欲も変わりなければ心配ありません。
・3日以上便が出ないときは、お腹をマッサージしたり、綿棒などで肛門を刺激してみましょう。

◆くしゃみ、鼻づまり、せき
・赤ちゃんは鼻呼吸をしていて、鼻粘膜も敏感なので気温の変化やホコリを吸い込むとその刺激に反応して鼻水が出やすく、鼻づまりが起こりやすいです。
・せきや熱もなく元気であれば心配ありません。熱があったり、せきのために息が苦しそうなときは受診しましょう。

◆発疹、湿疹
・突発性発疹、麻疹(はしか)、川崎病など発疹が出る病気はたくさんあり、それぞれ発疹のかたちや出方が微妙に違います。
・発疹が出たら、熱やかゆみ、痛みがあるか、発疹が広がるかなど、よく観察しましょう。
・発疹は時間の経過とともに変化することがあるので、写真などに記録しておくと診察に役立つことがあります。


●赤ちゃんのかかりやすい感染症
◆突発性発疹
・38度以上の熱が3日間程度続きます。
・熱の割には機嫌も良く、哺乳力もそれほど変わりません。熱が下がると同時に全身に発疹がでることが特徴です。
・発疹は自然に3日程度で消えます。熱性けいれんを起こすことがあります。

◆ウイルス性下痢症
・主にロタウイルス、ノロウイルスによるものがあります。
・ロタウイルスは白い下痢便が特徴です。下痢の他に発熱、嘔吐を伴うことがあります。脱水症を起こすことがあるので、唇や皮膚が乾いたり、おしっこの回数が減ったりしていないか観察をしましょう。

◆RSウイルス感染症
・主として呼吸器の炎症を起こします。
・ゼーゼーという呼吸音と共に息が速く、息をするたびに胸がへこむなどの症状を伴います。1か月未満の新生児の場合は息が止まる無呼吸を起こすこともあります。症状がひどい場合は入院、治療が必要です。


●アレルギーについて
 アレルギー体質を根本的に治す治療はありませんが、アレルギーを起こす原因物質を検査し原因物質を避けることにより症状を軽くすることができます。
 アレルギーの病気はアトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギーなどがあります。
 アトピー性皮膚炎はかゆみを伴い、治りにくい湿疹が特徴です。食物アレルギーは原因となる食物を摂取することにより腸のアレルギー症状(下痢・嘔吐)を起こし、皮膚の発疹を伴うことがあります。
 アトピー性皮膚炎、食物アレルギーは他の病気との区別が必要ですので、専門医の診察を受けましょう。